特別な1日

今日は、三木と息子の検定試験の話。

 

三木が最後に検定試験を受けたのは、10数年前にさかのぼります。私はそのときの様子を今でも覚えていますが、どちらかと言えばそれは、ちょっぴりほろ苦い思い出。

 

以来ずっと検定試験は受けていなかったのですが、今回次男坊の望未がいよいよ1級をチャレンジすることになり、何か思うところがあったのでしょう。急きょ一緒に受験することになったのでした。

 

 

 

photo:shima san

 

しかも、父と息子同じヒートで受験。コンテストではないとは言え、ゼッケンをつけて同じ舞台に立てるなんて、なんて幸運なことだろう。

 

波は常に頭オーバーで、普段のサーフィン波チェックならば、"クローズ"と言ってしまうようなコンディション。大きなセットは、技をかけても大人でもなかなかタッチダウンが決まらない状況で、今回合格したのは、わずか1人だけでした。

 

…と言うことで結論から言ってしまうと、試験は残念な結果。しかし今回は、三木が最後に受験した10数年前のソレとは、様子がまるで違っていました。上がってきた二人からは、とても意外な感想が。

 

三木:「なんか不思議やっちゃけどすごく楽しかったとよね」

 

望未:「なんか結構楽しかったっちゃが」

 

別々に聞いたのに、まったく同じことを言った二人。

 

二人が楽しかったというすてきな15分間を、いつも写真を撮ってくださるSimaさんが、ありがたいことにしっかりと撮っていてくださいました。まずは「楽しかった」と言った二人を物語っている写真がコチラ↓

 

ヒート終了直後の三木と望未
ヒート終了直後の三木と望未

望未にとっての検定試験

 

 

 

ヒート後半に、三木が望未に急いでパドルで近づいているひとこまがありました。大きなセットを狙わずに、少しコンパクトな波を捕まえるよう指示したのだそう。でもある意味そのくらい、セットに果敢に突っ込んでいました。アドレナリンが出るとは、きっとこのような状態のことなのだと思う。

 

“試験では技を決めなくてはいけない”ということは考えていたとは思うのですが、行ってみないと分からない状況だったのかもしれない。

 

今回、1回目のチャレンジがダメだったときに本人が望むのなら、もう1回試験を受けてもいい心づもりでいました。だけど望未は、「楽しかった」と言ったあとにこんなことを言いました。

 

入る前に見てイメージしていた波と、入ってから見た実際の波は全然違って見えた。今日はもういいわ。この波では、(今の自分には)1級を合格できるようなライディングは無理やから。

 

この言葉を聞いたとき、なぜだろう?成長をちょっぴり感じた気がしてうれしかった。

 

 

三木にとっての検定試験

 

 

三木らしいラウンドハウスカットバックを、本当に久しぶりに見た気がします。

 

5〜6年のブランクを空けてコンテストに復帰してからは、得点を出すためのライディングをずっと考えてきた。そんななかであまり見なくなってしまったのが、このラウンドハウスカットバックでした。海から上がると、それを見ていたいろいろな方から声をかけていただいていて、私が言うのも何だけど、結構印象深いライディング。

 

三木はこんなことを言っていました。

 

 

“同じヒートに望未がいるのがすごく不思議やった。それももちろんうれしかったし、なんかすごくうまくいった気がするとよ。カレントもすごくクリアに読めたし、いい波もキャッチできた。足りない部分はあったけど、自分のサーフィンで攻めることができた。合格できなかったのに、不思議と昨日入賞したときよりも(前日がコンテストでした)、むしろ幸せな気持ちやとよ。検定受けてみて本当に良かった。

 

 

もちろん検定試験なのだから、合格するライディングを決めることが何よりも大切です。だけどいろいろな条件が偶然に重なって、試験に合格するという目標を超えて、どうやら何か特別なものに出会えた様子。全盛期を過ぎた大人のコンペティターとしてずっと試行錯誤を続けてきた答えが、わずかに見えたのかもしれません。

 

合格するために必要だったこと、そんな反省点は2割3割で、あとはとっても幸せなフィーリングに満たされている様子の三木を見たときに、

 

「ああ。やっぱりこの人はサーファーなんだなあ」

 

つくづくとそう思った。

そして、"サーファーって、サーフィンって、本当におもしろい!"あらためて思ったのでした。

 

とにもかくにも、今回の検定試験は不合格。

だけど親子の特別な思い出になったのは、間違いない。

 

 

 

**今年1年は少し、いつもよりコンテストに多めに出る予定。親子の挑戦はまだ始まったばかりです。個人的なことではありますが、時々こうしてこの場を借りて、記録させてください**